かわいい王子VS鈍感な姫
「郁ちゃん…今結芽が『いい子』って言った?」


郁は『え?何か悪いこと言った…?』と言いたげな顔をしている。


「はぁ~…」


良平はため息をついた。


「…結芽は『いい子』じゃないよ…。中3になってから一段と性格悪くなって、態度でかくなって、おまけに化粧しだしたし…。」


結芽が一段とねぇ…。


俺も郁と一緒で『いい子』って感じだったから意外…。


「俺、よろしくって言ったけど…外見も中身も前とは違うから覚悟しといた方がいいぞ?」


覚悟しといた方がいい…


そんなに変わってるのか!?


まぁ、どっちにしろ…


「結芽と会うの楽しみにしてるよ。『いい子』なのか『いい子じゃない』のか!」


ちょうど教室に着き、俺たちはドアを開けて入った。


その時、良平がボソッと言ったのを俺は聞き逃さなかった。


『七海の前では結芽はいい子だろうけどな…。』


俺の前では…?


なんで…?


俺は教室で友達としゃべっているときも、始業式中も、HR中も、そして寝る前も…


部活みたいに何かに集中している時以外、良平の言葉の意味について考えた。


でも、結局答えは出せなかった…。


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