かわいい王子VS鈍感な姫
「郁ちゃんが『ななちゃん』って呼ぶのは特別って感じだったのに…どうして?」


結芽といい良平といい、そこまでわかるなんて…すげぇな。


「郁がいきなり大人になるって言い出して、1人称も『あたし』にして俺の呼び方も『七海』になったんだ。」


「そうなんだ…。なな兄は『ななちゃん』がよかったんだね。そんな顔してる♪」


無意識に寂しげな顔してたかな…?


「結芽の言う通りだよ。『ななちゃん』がよかった。でも、決めたんだ。いつか郁が俺の彼女になったら、『ななちゃん』にしてもらうってな。」


『ななちゃん!』


郁にそう笑顔で呼んでもらうんだ…。


「結芽、なな兄の恋を応援するよ!」


結芽はいきなりブランコから降りて言った。


応援!?


「で…でも…」


俺…結芽をフったのに…。


「なな兄を諦めなきゃならないことくらい中2の頃からわかってた。今日言ったのはけじめをつけたかったからなの。だから…気にしないで?」


けじめ…か…。


「ありがとう…結芽…。」


俺もそろそろけじめつけないとな…。


「今日は来てくれて…話してくれてありがとね!なな兄、頑張って!」


「おう!ありがとう!」


俺たちはそれぞれ家に帰った。


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