かわいい王子VS鈍感な姫
あれ?今思い出したけど、確か百合女のオープンキャンパスに行ったって言ってた。
百合女とは、百合ノ園女学院。
片道2時間かかる県外の伝統ある高校だ。
「百合女は?」
「あ~百合女か桜高か最近まで悩んでたの。でもね、百合女って遠すぎるし場違いだなって思ったから…やめちゃった!」
「そっか。」
よかったぁ!
家は隣でも高校が違ったら全然会えなくなりそうだし。
「ってことは、俺ら3人高校も一緒だな!」
良平はわざとではないと思うが、教室全体に響き渡る大きな声で言った。
その瞬間、クラスの女子が一斉にこっちに振り向き、俺のまわりに集まってきた。
げっ…。
「七海くん!高校どこ受けるの?」
「七海くん!教えて?」
俺は『どこの高校を受けるのか』という質問攻めにあった。
ここで桜高なんて言ったら…
『あたしも桜高にする!』
こんなことを言い出す奴もいそうだしなぁ…。