かわいい王子VS鈍感な姫
「寿兄!久しぶり!」


「おう!七海!久しぶりだな!」


そう言う寿兄はまだ4月なのに半袖半ズボンだ。


俺は長袖長ズボン。


半袖半ズボンにするほどまだそこまで暑くない。


「寿兄、寒くないの?」


夜は今より肌寒いはずだけど…。


「寒くないぞ?それより、七海は身長伸びたな!」


「わかる!?今、167cmなんだ!」


高校に入って9cm伸びた。


五十嵐部長の言う通り牛乳を毎日飲んでいるものの、ぐいっと伸びない。


「おー!!でも、バレーしてたら全然足りねぇだろ?」


「足りないけど、伸びてるだけマシかなってプラス思考に考えてるよ!」


寿兄は納得していた。


「七海、俺に話があったんじゃないのか?」


そうなんだよ…寿兄!


でも、今話したらいつ郁に聞かれるかわからない…。


いつかは言うつもりだけど、こんな形で知られたくない。


「郁のことで相談があるんだけど…。」


俺は『郁』のところだけ口パクでしゃべった。


「あ~そういうことな。もうちょっと待つか。」


寿兄は全てを悟ったよう。


「ありがとう!寿兄!」

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