かわいい王子VS鈍感な姫
「話戻すね。…で、結芽ちゃんがあたしにななちゃんが好きかを聞かれたから、好きって言ったの。じゃあ、『なな兄のことななちゃんって呼んであげて?』って。」


結芽…。


郁の気持ちに気付かせて…


俺の気持ちがバレないように言って…


俺の願いを叶えてくれた…


結芽はすごいよ…!


自ら恋のキューピット役みたいなことしてくれた…。


本当に…


本当にありがとうな…結芽!


「俺…郁からの呼び方が『七海』になった時からずっと『ななちゃん』ってまた呼ばれたかったんだ。だから、郁が彼女になったら呼んでもらおうって…。」


郁は俺の手を握って言った。


「ななちゃんの気持ちに気付かなかくてごめんね?これからずっと『ななちゃん』だから…!」


俺の目からは涙が流れていた。


俺…なんで泣いてるんだろう…。


郁はタオルで俺の涙を拭き取ってくれた。


そっか…


うれしいんだ…


幸せなんだ…


俺たちはそっとキスをした。


降り出してきた雨の音に包まれて…。


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