かわいい王子VS鈍感な姫
本選当日━


試合に入る前にミーティングをする。


「俺たち3年にとって確かに最後の試合だ。でも、それを考えないでほしい。」


部長は言った。


考えないでほしい…?


「そんなこと考えてると、集中できないし力んでしまうだろ?」


確かに…。


昨年、そうだった時も何回かあったかも…。


「だから考えるな。あと、ベスト4が目標ということも試合中は考えない。」


目標を考えない!?


「1つ1つの試合を大事にしてほしい。たとえ相手が俺たちのチームより実力が下でも、たとえ…相手が都倉でも!」


都倉…優勝校で昨年俺たちが負けた学校だ。


部長の言い方からすると…まさか…


「部長。今年も順調に行くとベスト4決めは都倉なんですか?」


みんな知らなかったようで、俺の質問にざわつき始める。


「七海の言う通りだ。都倉とあたる。だが、まずは1回戦、2回戦を勝つことが先だ。もうすぐ試合が入る。気合い入れていくぞ!」


「「「はい!」」」


とりあえず、確実に1回戦、2回戦を勝つんだ…!


「ななちゃん…!」


隣りにいる郁が俺の名前を呼ぶ。


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