かわいい王子VS鈍感な姫

「選ばれた理由はあなたが首席で合格したからよ?」


俺、首席だったんだ…。


「毎年首席の人に入学式の直前に文章を渡して、ぶっつけ本番で読ませてるみたいなの。」


読ませてるみたいって…


「先生、今年から桜高に来たんですか?」


「えぇ、そうよ?教師になったのも今年からなの。」


「そうなんですか。」


「あっ、そろそろ時間ね。森くん、代表頑張って!」


「…はぁ。」


まぁ、やるしかないな。


「みんな~!名簿順で廊下に並んで~!」


俺も含めてみんなぞろぞろと廊下に出ていった。


しかしお互いの名前を知らないため名簿順にはなれず、今、柳川先生が一人一人名前を呼び名簿順に整列させている。


俺は『森』だからかなり後ろだ。


順番が来るまで、入学生代表の文章に目を通すことにした。


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