かわいい王子VS鈍感な姫
中学までは5分くらいだ。
その間に俺が必ず言うことがある。
「郁。そろそろ『ななちゃん』って呼ぶのやめろ!」
好きな奴に女の子みたいなあだ名で呼ばれるのは…やっぱり男として無理だ。
「『ななちゃん』は『ななちゃん』だもん!」
そう言って郁は頬をふくらます。
かわいい///
じゃなくて…!
「名字で呼べとは言わないから、せめて『七海』にしてよ…。」
「いや!…まぁ、ななちゃんに彼女が出来たら嫉妬されんのやだし、その時はやめてあげる。」
…ずっと『ななちゃん』だな。
俺が郁を好きなんてこれっぽっちも気付いてない…。
この鈍感!
ぜってぇ振り向かせてやる!!