かわいい王子VS鈍感な姫
俺がそう言うと、五十嵐部長以外はみんな驚きを隠せないようだ。
俺は1セット目の途中に気付いた。
相手も本気を出していれば、顔をゆがめたりと表情が変わるだろう。
でも都倉の選手は全く表情を変えていなかった。
1セットとられた今でも…。
「七海…気付いてたんだな。七海の言う通り、都倉は本気を出していない。都倉にボロ負けはしないなんて言って…俺は都倉の実力を甘く見ていたようだ…。」
五十嵐部長は申し訳なさそうに言った。
「五十嵐部長!相手が本気を出していなくても1セットとってるんですからボロ負けではありません…!
…問題は次のセットからです。1セット目よりはガンガンくるはずですよ。」
…次のセットからは簡単に点をもらえないだろう。
「良平…。ガンガンか…。確かにそうだな。…よし!次のセットも思いっきりやろう!勝っても負けても…後悔しないいつもの俺たちのプレーをな。」
「「「はい!」」」
五十嵐部長は笑顔になった。