もう限界だから、飛び降りる。
 徹ちゃんと杉山とあたしは、いわゆる幼なじみというやつで、保育園から高校まで、ずっと一緒に通っていた。


 徹ちゃんは小さな頃から美しい死に方を探していて、あたしは徹ちゃんと一緒に死ぬと決めていた。

いろいろな死に方を調べているあたし達の邪魔をするのが、杉山だった。


 高校の卒業式の日、あたしは徹ちゃんにこの橋へ呼び出された。


 ついにこの日が来た。

 期待に胸を躍らせてあたしはここへ来た。なのに、彼は来るなと言った。


 飛び立つ前の烏のように、優雅に腕を広げ、白い喉をのけぞらせる彼を、あたしは硬直したまま眺めていた。


詰め襟の黒さが目にしみた。

「なんで、そんなこと言うの」

涙をこぼしながら聞いたのに、徹ちゃんは答えなかった。


ふわりと笑って、孤独に橋を蹴ったのだ。
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