綿菓子と唐辛子
「…ヒメ、このまま聞いて欲しいんだけど」
徐々に、薄暗くなっていく教室。
あまり周りは見えないけれど、顔も見えづらいから、恥ずかしいことを言うのにはもってこいの空間。
「…俺ね、ヒメの女の子を隠してる姿も、こうやって俺に女の子の姿を見せてくれるのも、全部、好きなんだ」
「…っ」
「…だから、見せてほしい。これからも、俺だけに」
…ヒメ。
今日ヒメが見せてくれた姿は、きっと本当の姿なんだよな?
俺が、おまえの過去を塗り替えていけば、元通りのヒメに戻れる。
そうなんだよな?
「…は、恥ずかしいよ、ナツ」
「俺の方が恥ずかしいっつの……」
くすぐったい。かゆい。
こんなセリフ、ドラマでしか聞いたことない。こんなことを実際に自分で言う日がくるなんて、思ってもみなかった。
恥ずかしい。