綿菓子と唐辛子


「帰るぞ!ヒメ!」

「…は、ははは、はい!!」



帰るっつっても、同じアパートの隣の部屋なのに。

会おうと思えば、すぐに会える距離。


この気持ち悪い気持ちは、一人になったら消えてくれるだろうか。



「…っごめん、ほんとに、嬉しくて」

「わっ、わたしも、だよ」

「………」


消えてくれないと、困る。ヒメに会うたびにこんな気持ちを引きずってちゃ、俺だって身がもたない。



「…ヒメ」

「…はい………」




でも、だからこそ、帰る前にちゃんとしときたい。 恥ずかしいけど、それでもこれからのために、しっかりと言葉にしておきたいから。 


だから。



「…俺の、彼女になってください」


「………っ、は、はい………」





もう、不安にならないように。 






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