綿菓子と唐辛子


「それにしても、あれか。もう二ヶ月たつのか」


窓の向こう側を向いて、勇哉が呟く。


「…まぁ、そうだな」


正確にいえばあと10日くらいはあるけど。

5月15日。それが俺らの記念日。


「いいなぁ。どうなの、相坂、可愛いの?」

「……」


出た。勇哉お得意の質問。
毎回毎回、うるせーな、コイツ。


「…かわいーよ」

「ひぇぇええええ……きもっ」

「お前がな」


メロンパンを投げつけてやろうかと思ったけど、やめた。

コイツは照れてるだけなのだ。


「んでもさー。2ヶ月しか付き合ってないのに部屋を行き来するって、早くね……」

「ハァ?」

「…だから、ほら、な?分かれよ」

「…わかんねーよ…」


……ウソ。

コイツが言いたいことは分かっていた。

年がら年中、スケベなことしか考えてない勇哉が俺に言いたいことなんて、ひとつに決まってる。



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