綿菓子と唐辛子
「ねぇねぇねぇねぇ!ナツくん!勇哉!」
「ナーツー!!」
手元にあったメロンパンを詰め込み終わると、すごい勢いで入ってくる人たちが見え。
俺の名前を呼ぶ声に、また胸が締め付けられる感覚がする。
「君たち、元気だね」
勇哉が麦茶を飲み干すと、コップを置きながら呟いた。
目の前には、すっかり夏服に変わった崎守とヒメの姿が。
「…どーしたの」
ぴょんぴょんと跳ねるヒメにときめいてしまう。
それを隠すのが毎回本当に大変だ。
「あのねあのね!今度、四人でプール行こうよ!」
「「………へっ?」」
……ぷーる………??
雑誌を指さしながら、キャッキャと説明する崎守。
そしてその隣で、珍しく髪を結っているヒメも、目を輝かせている。
「そう!四人以上出行くと、安くなるんだって!仕方ないし、勇哉くんも呼ぼうって!」
「ちょっと待て!仕方ないってなんだ!」
「仕方ないでしょ。わたしはヒメと二人で行きたかったけど、二人じゃダメだし、ナツくんは彼氏だから行くとして、あとひとりは…」
「あー、わかった!わかったからそれ以上言うな!悲しくなる!」
勇哉が泣くふりをすると、崎守もヒメも笑った。