綿菓子と唐辛子


「日付は来週の日曜日!午前中から行って1日泳ご!」

「ん、りょーかい」

「よしっ、決まりね!!」


企画をする女2人はとても楽しそうだ。

いや、俺もうれしいんだけど。
そして、勇哉も。



「…あれ?相坂、」



勇哉が発した言葉に、自然とみんなが反応する。

この時妙に静まったのは、勇哉がヒメに話しかけることがあまりないからかもしれない。


「ここ、手首、どうしたの?」


…でも、勇哉は本当に、何事にも敏感だ。


「……っあ………………」


勇哉が指さす先には、ヒメの腕。

夏服に変わったのは今日からだから、俺もそれは初めて見ることになった。



…ヒメの腕。

手首には、輪っか上になった跡が、腕をグルッと一周、残っていた。

左手と、右手。

右手の方が、跡は大きかった。



「………っ、え…………と………」



…リストカット、ではない。

そんな、傷だった。
 


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