綿菓子と唐辛子


「大丈夫?ごめんな、あいつ、あれだから女にモテねーんだ」



近くの踊り場につれて行って、陰になった涼しい場所でヒメと向き合う。

ううん、と、ヒメは頭をふった。


…手は、震えたままだった。


「いーの。もう」

「…ヒメ」

「ナツ、ぎゅーってして」

「……ー」


ここで?…と、

言いたかったけど。




人通りも少ないし、先生もいなかったから。



「…ど、したの………」

「いーから……っ」



優しく、掬うように、ヒメを抱きしめた。






…こんなことを言うヒメは久しぶりだ。

やっぱり、連れ出して正解だった。





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