綿菓子と唐辛子


ニッコリと笑う茶髪ピアス男。


「…なんで、そんなこと言われなきゃいけないんですか」


なんだこいつ。まるで、ヒメのことをよく分かってるような…。



持っていた飲み物を握りつぶしそうになる。でも、その男は何も動じずに少しだけ口角を上げた。


そして、そのまま俺のすぐ横まで寄って来る。



「…あいつの秘密、知らないんすか」



「………………」


左耳に響く声。外側から、べっとりとその声はくっついて、そのまま耳の奥の方へ入っていった。



「ま、知らないならあえて言わないけど。あいつはやめといたほうがいいよ」

「…は、」

「アンタが、傷つくよ」

「……………」



脳内に響く。

心が、もやもやしてくる。

なんでだよ、だって、知ってるはずなんだ、俺は。


あいつのことは、全部。



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