綿菓子と唐辛子
————…
「えっ、ヒメって9月生まれなの?!」
夏休みが過ぎ、新学期が始まったのも束の間。
まだ暑苦しい空気でいっぱいの教室に、俺の情けない声が響いた。
「えっ、もしかして知らなかったのナツ…。サイテー」
「…っ」
下敷きで、パタパタと仰ぎながら白い目を向ける崎守。
勇哉はその隣で爆笑。
くそっ、笑ってんじゃねぇ。
「ごめん、ヒメ…。俺今まで全然…」
「え?いいよ。うちだって、何にも言って来なかったわけだし!」
「……はい…」
ヒメと付き合えて幸せいっぱいだったとは言え、彼女の誕生日を忘れてしまうなんて、彼氏としてどうなわけ…。
完全にミスった。情けねー。