綿菓子と唐辛子


「いいわね!あなたは!そうやって!笑ってくれる彼女が隣にいてっ!!」


ワァッ、と、泣き真似を始める勇哉。
あーあー、めんどくせー。

こうなったらもう、シカトを決めるのが一番だ。


「…」


でも、誕生日かあ。

一緒に過ごそうとは言ったけど、俺にとってヒメは初めての彼女であって、俺は今まで好きな人の誕生日を祝った経験なんてない。

…もちろん、勇哉も…


「なぁ、勇哉」

「なんだよっ」

「お前、彼女の誕生日祝ったことある?」


…って、ある確率の方が低いか、こいつは…。


「は?あるよ」



…え。


「あんの?!?!」


いっつも彼女欲しい彼女欲しい言ってるだけの童◯だと思っていたのに…!


「あるよ、中学の時。2ヶ月だけ付き合った彼女だったけど」

「まじか」

「まじまじ。今思えば、誕生日1人で過ごすのが嫌なだけだったんだなって気もするけどな」

「…………」


なんだよこいつ。いつも俺のこと羨ましい羨ましいって騒ぎ立てているだけのくせに。

俺より全然、経験あるじゃん。



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