綿菓子と唐辛子


————…


「え?誕生日プレゼント?」


帰り道、マンションまでヒメをおくってきて、俺たちは、玄関先で立ち止まっていた。

というのも、部屋に入る前に、俺が誕生日プレゼントについて問いかけたわけであって。


「…ん、ごめん。あんまり考えつかなくて。ヒメが欲しいやつあったら、教えて欲しいなって…」


行くところはともかく、プレゼントは本当に難しい。

今までは、ケーキとかカタチに残らないものをあげたりはしてきたけど。

今回はどうせなら、一生の思い出になるものがいいなと思っているのもあって。


「…うちが、欲しいもの…?」

「…うん…」


ヒメは、うーんと考え込んでしまった。

突然欲しいものを聞かれれば、誰だってそうなってしまうのは当たり前だ。

本当なら、俺が選べればよかったんだろうけど。


「…や、いいよ。また今度聞かせて。とりあえず考えておいて」

「うん、わかったよ」

「ん」


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