綿菓子と唐辛子


「この際だからやっちゃえよ。ほら、雑誌のここにも書いてる。初めてのデートも兼ねた誕生日なら、初めてのキスを演出しても良いって」

「………」


初めてのデート…って、わけじゃないけど。

まぁ、確かに勇哉の言ってることも間違ってはない気がする。

けど、けど………!



「え?まさか、4ヶ月も経って、まだビビってんの?」

「…………」

「……まじかよ」

「……」


別に、ビビっているわけじゃない。

ただ、ヒメとそういう雰囲気になったとしても、なんだか手を出すのが億劫になってしまう感じがする。

それだけだ。


「え?ナツくんだって、したいよね?男の子だもんね?」

「……当たり前だろ」

「ほっ。よかった」


ビビってなんか、ない。

ただ、ヒメが、そういうことをするのに抵抗がないのかなとか、そんなことを考えてしまうだけで。


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