綿菓子と唐辛子
「む、無理…っ。体が固まってて動かな…」
「はぁー…」
涙目になりやがって。
さっきの恐ろしい顔と態度はどこに行ったんだか。
つーか俺たちは初対面で何をしてるのか…。
…本当、おかしいっつーか…。
「もう分かったから。そのかわり、もうキレたりすんなよ」
「…へ……。…!きゃ、きゃぁあああ!!!」
大して高いところにあるわけでもない相坂姫芽の体か捕まえて、無理やり地面に下ろした。
突然抱きかかえられた相坂姫芽はビックリしたらしく、案の定俺の耳元で金属がこすれるような声を発す。
「…っせーな…」
「な、何すんだよ!」
「何すんだよじゃねーよ。ありがとうとか言えないわけ?」
「…っ」
パンパンと土を払って、相坂姫芽の背中や腕に付いた泥をはねのけた。
そして、俺は杉村先生から頼み事をされているのを思い出して相坂姫芽に袋を渡した。