綿菓子と唐辛子
ようやく、愛している彼女のもとへ、手が届く気がした。
もう、いいや。
突然いなくなった理由とか、男がいる理由とか、その男が意味深だとか、腕のキズとか、過去に何があったとか。
そういうのは、もういいんだ。
気にしない。見るまで、何も聞かない。
だって、きっとヒメが抱えていることは、俺が考えてモヤモヤしていることより、ずっとずっと大きくて重くて深いのだから。
…そんな小さいことで、気にしているようだったら、この先が思いやられる。
そんな気が、していたんだ。
「ヒメ、俺が行くから、もう大丈夫だよ」
『ナツ…』
俺は、ヒメが好き。
それだけを理由に、何もかもと闘ってやる。
「ちゃんと、待ってろよ」
『うん…っ』
「…ヒメ」
たった1つのことを守るために、捨て身で闘ってみせるよ。
「ヒメ、好きだよ」
『…っ』
今度こそ、君の裏側を見つけに
きみに、あいにいく。