綿菓子と唐辛子
バスに乗って15分くらい進むと、住宅街に入った。
7つ目のバス停で降りて、そのまま俺は本郷について行った。
のどかな風景。とても静かだった。
横目には、河原で遊んでいる小学生の群を見つけた。
学校の授業なんかで来ているんだろうけど、俺たちが小学生の頃は、あんまりあぁいうこと出来なかったな、なんて思ってしまう。
そのくらい、都会とはかけ離れた、静かな場所だった。
「…ここです」
バス停から10分ほど歩くと、3階建てのマンションに連れてこられた。
特に新しいというわけではないが、母親と二人暮らしのわりには、十分なのではないかと思う大きさだった。
ここに、ヒメは住んでいたんだ。
「…今日、ヒメは?」
「今日はちょっと留守にしてる。でも、アンタの荷物だけは入れてていいって言われてるから、それだけ、中にいれて」
「…」