綿菓子と唐辛子
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新学期が始まって1週間。
クラスの雰囲気にもようやく慣れてきた。
勇哉は相変わらずバカ丸出しで、南も相変わらずうざったい。
担任の先生は生物の先生で、生徒からはミトコンドリアって呼ばれてる。こんなあだ名をつけられているわりには、生徒には人気のある先生らしい。
(ミトコンドリアとは、生物の細胞の中に存在するものだそうで。生物の先生だからミトコンドリアになったらしい)
そして俺も、今までの学生生活とは一味違うものを感じていた。
「ヒメー、今日シャーペン忘れちゃった。貸して」
「な、シャーペンくらい持ってこいよ!毎回毎回、なんなんだお前!!」
「はは、ごめんごめん」
隣にいる相坂姫芽に、ちょっかいを出すこと。
これが、毎日の日課になりつつある。
だって、怒りつつもちゃんと反応を返してくれんだもん。めっちゃ面白い。
「ほ、ほら」
「ぶ…っ、出たなゴジラシャーペン」
シャーペンを忘れた俺に、ヒメがいつも貸してくれるのは、ゴジラシャーペン。
芯を出すためにプッシュするところが、ゴジラの頭なのだ。
初めてこれを出されたときは、本当に笑った。こんなふざけたシャーペンを見たのは初めてだ。どこに売ってるんだこんなもん。
「っ…、嫌なら返せ…!!」
「やだね。これがないと俺、授業受けられない」
「くっ!!」
…この、悔しそうな顔がツボだ。顔は可愛いのに、もったいないやつ。
でも、それが面白すぎて、ハマってしまってる。