綿菓子と唐辛子
「まーたお前は相坂をいじめて…。懲りねーなぁ」
お昼休み、勇哉は大きな弁当を食べながらため息をついた。
この男は、ヒメの正体を知って少々傷心気味である。もっと女の子らしい子を期待していたからまさかゴジラシャーペンを持っているような子とは思わなかったらしい。
「いーじゃん、あいつ。なかなかハマるよ」
名前でイメージなんか膨らませるからだ。ばかだな。
「俺には猛獣にしか見えねーな。お姫様じゃねーよ、あれは。例えるなら、美女と野獣の野獣だね」
ほら見ろよ、と
勇哉は玉子焼きが刺さったフォークを、机に座っているヒメに向けた。
最近仲良くなった南と、お昼を食べている。
「女の子があんなゴツい焼き肉弁当よ?しかもあのデカさは大盛と見た」
「は?うまいじゃん、焼き肉弁当」
「顔は結構可愛いのになー。あれじゃー男は近寄らねーわ」
「人の話を聞け」
…そんなに、他の男から見たら変なのかな、アイツ。
普通の女子と、なんな変わりなくない?
確かに、クラスの中には焼肉弁当を持ってくるような女子はいなさそうだけど。焼肉なんて、普通に食べるだろ。性別なんて、あんまり関係ない。