綿菓子と唐辛子


「…それで、今、姫芽は何してんだ?」


話を、変えよう。


「あぁ…。昨日あたりにニュースになってたんだけど、見なかった?」

「中学生監禁事件?見たよ」


そう言えば、チラッと見て流していたけれど、勇哉と部屋で「もう2年前になるのか」と話していたのは、ヒメのニュースだったのか。

…そう思うと、本当に身震いがする。


「明日被告の裁判があって、刑が決まるんだけど、それの関係で姫芽は裁判所とかそういうところを回ってるよ」

「…………そうか」

「明日じゃないと姫芽には会えない。だから、今日は俺の家に泊まるといいよ」

「……ん、ありがとう」



そうか。じゃあ、ヒメは今もあの苦しい過去と闘い続けているんだ。

だから、何も言わずに俺たちの前から消えたんだ、きっと。

だから、俺に来ないでと言ったんだ。
嫌われたくないからと。



「…あいてぇ…………」



今、ヒメは大丈夫なのかな。
嫌な思いをしているんだろうな。

また、思い出して辛くなってねぇかな。

俺の顔を見るの、嫌になってねぇかな。



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