綿菓子と唐辛子
「ごっそさん」
空になった弁当を閉める。ちまちま食べている勇哉をほっといて、歯磨きの準備をした。お昼ご飯の後は、歯磨きに時間をかけないと気持ちが悪いから。
「…」
ヒメ…は、まだ食べてんのか…。あんな大盛り持ってくるから食べられないんじゃねーの。
…って、食べてたら何なんだよ。
ヒメは別に、俺の歯磨きには関係ねーし。
「あ、ナツー」
「あ?」
歯ブラシを取りに自分の机に戻ったら、すぐに南から声をかけられた。
そして隣にいたヒメも、じっと俺の方を見てる。
「なんだよ」
「あのね!今、部活の話してたんだけどさー」
「あ?部活?なんでまた」
「あのねぇ、なんか姫芽ちゃん、部活に入りたいらしくて…。ナツ、参考までにナツが何部に入ってんのか教えてやりなよー」
「…」
コイツ……!!
嫌な予感が的中した。別に隠していることではないけど、今、南の顔がひたすらニヤニヤと動いていることから、何を求めて俺に部活のことを聞いてきたのか分かってしまう。