綿菓子と唐辛子
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朝が来たのは気づいていたけれど、しばらくは天井を見つめていた。
見たこともない、天井の柄。
自分のアパートよりも、高いのが分かる。
…確かに、俺は昨日、本郷に会って、ヒメのことについて話を聞いた。
そして今、その本郷の家に泊めてもらい、朝を迎えているってわけだ。
「…朝か……………」
今日という日が、色々な意味で特別な日になろうということは、俺自身も覚悟していた。
だけど、あっけなく陽は登り青空が広がっているのが分かるもんだから、なんだかいつもと変わりない1日のような気もする。
「…はぁ、」
緊張なのか、なんなのか、さっきからため息が止まらない。
今日、俺はヒメに会いに行くわけで。
ずっと今までのヒメを見てきた、元恋人から引き離して、俺のもんだと奪い去って行くわけで。
…なんだか、ものすごいことをしているんじゃないかと思えてくる。
でも、きっとそれを本郷に話したりなんかしたら、また昨日のように「ばっかじゃないの」と言われるのがオチだ。
あの人に、思ってもないことを言うのは、通用しない。
それは、昨日わかった。