綿菓子と唐辛子
なんとなく重い体を持ち上げて、布団から出た。
しっかりと、シーツを外して敷布団を畳む。
初めて会った俺にここまでしてくれる、この家族には改めて感謝をしなければ。
ーーーコンコン。
「…?はーい」
和室の扉が外から叩かれた。
足音が聞こえなかったからびっくりしたけど、扉を開けると、そこには本郷が立っていた。
「あぁ、よかった起きてた。布団はそのままでいいっすよ。あとでやっとくから」
寝間着姿から、もう出かける服に着替えている本郷。
早起きだな…随分と。
「…いや、使っといてそのままってわけには…。せめてもとあったところに…」
「あ、いーよいーよ。どうせこの後布団干すし。そのままで本当にいいっすよ」
「………ありがとう」
俺の消え入りそうなお礼に、またニッと口角を上げた本郷。
早く飯食って、お姫様を迎えに行くぞ、と、冗談交じりに笑いながら出て行った。