綿菓子と唐辛子
「…お…俺は、料理部だけど……?」
きょとんとしているヒメから目を逸らしつつ、そう答えた。目が泳いでいるのが自分でも分かる。
あーー!!それにしても!言いたくなかった!!
小さい頃、川○シェフに憧れて料理が趣味になって、女子ばっかの部活に入ったなんて、絶対に自分から言いたくなかった!!!
「……料理………」
「ねー!すごいでしょ。これでも部長っていう大役まで担ってるんだよ」
「南!てめー後で覚えてろよ!!!」
「はいはーい。ナツなんて怖くないもんね」
…でも、本当に料理は好きなんだ。
毎朝、時間さえあれば自分の弁当も作りたいくらい。
フレンチもイタリアンも、簡単なものだったら作れる。
元々、親父とお袋がシェフとしてフランスで働いてることもあって、物心ついた頃から興味はそれなりにあったんだ。
「…料理…。お前、見かけによらないな」
眉間にシワを寄せながら、ヒメは真剣な顔で俺を見た。
「おー。こんなクソ男でも料理は出来んだよ。お前と違ってな、ヒメ」
「な……!!」
ふ、やっぱりその顔、最高だな。
俺の言葉ひとつひとつに、少し大げさに反応した、その顔。