綿菓子と唐辛子



背中に、じわりと重みを感じた。


9月なのに、変に汗ばんでいた背中をぎゅっと掴まれて、その重みは俺の腕を回って、前へと伸びてくる。





「………っと…?」





「…っけた……ッ。つけた…、見つけた………ッ」





そして、ずっと頭の中で巡らせていた、恋い焦がれていたその声は、俺の耳から全身を駆け巡っていく。









「見つけた……!!ナツ………………っ!!!」








「ーーーーー…!!!!」






たまらなかった。



後ろから聞こえたその声が、ちゃんと、俺の名前を呼んでくれたことが。


俺を、ちゃんと見つけてくれたことが。




やっと、やっと会えたと、思った。


たった数日会えなかっただけなのに。
もう何年も会っていないような気がして、何度も何度もその声を聞いた。










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