綿菓子と唐辛子
「ヒメ……………?」
前に回った手のひらを見る。
ぎゅっと握りしめられたその細い指。白くて、今にも折れてしまいそうなほど、華奢な指。
それは、紛れもなく、俺の好きなヒメの手だった。
「…ナツ……、ナツっ……」
「———っ」
たまらなくなって、その手を取った。
ぐるんと後ろを向いて、そのまま、感じていた愛しい重みをこれでもかと思うくらいに抱きしめる。
「……………っ」
誰かを腕の中に入れて、涙が出るのも初めてだった。
「……ヒメ………………」
こんなに、誰かのことを待ち焦がれるのも、初めてだったよ。
ヒメ。