綿菓子と唐辛子



「おーい、相坂、ナツくん」


しばらくすると、本郷が帰って来た。

…と、いうか、ナツくんて…。
なんだそれ、なんでその呼び方。まぁいいけど。



「相坂の母ちゃん、来たよ。この後は相坂ん家の車で一旦帰るって」

「…!」



ヒメの、おかあさん。

初めて会う。ドキドキだ。



「ナツはいつ帰るの?」

「え?ええ、えーっと…」


俺の緊張とは裏腹に、平然と質問してくるヒメに、少しだけ困りながら答えていると。



「ごめんなさい〜〜!遅くなっちゃった!!」


本郷の向こう側から、甲高い声が聞こえた。


じっと目を凝らしてみると、そこにはヒメに似た小柄の女性が1人立っていて。



「おかあさん…!」



振り向いたヒメを合図に、俺はその女性を見て頭を下げた。





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