綿菓子と唐辛子


「…俺、恥ずかしながら、本郷に教えてもらって初めてヒメの過去を知りました」

「…」

「でも、それを聞いてヒメに対する気持ちが変わることはなかったです。俺にとっては、どんなことを抱えていようが出会って好きになったままのヒメだし、俺はヒメがどんなことを抱えていたとしても、今のヒメが好きだから」

「ナツくん…」

「だから別に、ヒメが辛い想いを抱えながらも、俺の隣で、俺といる間は笑ってくれれば、それで満足なんです」


…そうだ。

どんなことをこれから気にして生きようが、ヒメが辛い想いをしようが、俺の気持ちは何1つ変わらないのだから。

ずっと、俺はヒメのことを見て、生きていくのだから。



「…ナツくん、本当に優しいのね」

「優しくはないですよ。ヒメのことが好きだから優しくなれるんです」


今サラリと恥ずかしいこと言ったな、なんて思ったけど、誤魔化す必要もないから、そのまま下を向いてお茶入れを手伝った。


…でも、よかった。

こうやって、ヒメのお母さんに俺の想いを伝えられて。


ゆっくり話をすることができて、本当によかった。








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