綿菓子と唐辛子


『ひかり482号、東京行きが到着します』


到着の案内が聞こえて、俺たちはホームへ降りていった。


それを、ずっと最後まで見ていてくれた、ヒメのお母さんの顔を忘れない。


ぎゅっと、ヒメの手を握って、離れないように、離さないように、大切に大切に守っていく。

…それが、きっとこれから俺に任されたこと。



「…ナツ…?手、どうしたの」

「…なんでもないよ。それより、ちゃんと掴まってて」



今まで、ヒメを守ってきた人たちの意志を受け継いで、今度は俺が、ヒメを幸せにする。


それは、簡単なことじゃないのかも知れないけれど。

でも、


「ふ、ナツかっこいい」

「……」


ヒメが、そのまま、その笑顔で横にいてくれるように。


俺は、俺のもっているすべてできみのことを守るよ。


「…かっこよくなんかねーよ」

「ううん、ナツはかっこいーよ」



…じゃあ、いつまでもきみのなかで、かっこいいヒーローでいられるように。


俺なりに、頑張ってみるよ。







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