綿菓子と唐辛子
「うるせーな。まだ電車はこれからだよ。今は東京駅にいる」
『えっ?!まじか?!』
「…?」
慌てている様子の勇哉。
勇哉が話している周りも、なんだかざわざわしていて、あまり声が聞き取れない。
思わず顔をしかめていると、今度はまた大声で叫んできた。
『あーーーー!!!発見!!!見つけた!!!ちょ、お前らそこにいろ!!!』
「?!?!」
だからなんなんだこいつはさっきから!!
ジンジンとする鼓膜を押さえながらスマホを外す。
ムカつくから電話を切った。
「…勇哉くん、なんて?」
「しらねぇ…。うるさいから切ったけど」
「ええ?!」
でも、さっきはなんか「発見」とか聞こえた気がするんだけど…まさか。
変な違和感を覚えて、周りを見渡してみた。
たくさんの人たちで溢れかえっている東京駅。
こんな中で、何を探すってんだって感じだけれど。
でも、今の感じだと、きっと…
「おーーーーい!ナツ…!こっちだ…!」
「…!!」
人が歩いている隙間を縫って、声のする方に視線を動かす。
声だけを頼りに、周りを見渡すと、そこには大きく横に左右する手のひらが。
「こっちこっち!ナツ!相坂!」
「あーーー!ヒメーーーー!!」
…そこには、勇哉と南の姿があった。