綿菓子と唐辛子
「…ヒメ、大丈夫なの?ちゃんと、無事なの
?けがとかもないのね?」
「うん、大丈夫だよ、南ちゃん」
「うわーーん、ヒメ〜〜っ」
行き交う人たちの中で、二人はしばらく抱き合っていて。
それを、俺たちは少し困りながらも、笑いながら見守っていた。
「ヒメ、もうわたしたちにこんな思いさせないで…」
「うん、ごめんね」
「ちゃんと、聞くから。ヒメが話してくれるなら、ちゃんと真剣に聞くから、わたしたち」
「うん…」
南の頭をなでる、ヒメ。
いつもは、南の方がしっかりしている感じなのに、今日は逆だ。
「南ちゃん、ありがとう。だいすき」
「わたしだって…!ナツなんかより、ずっとヒメのこと好きなんだから…!」
「いや、それはねーよ、南」
…また、戻ってきた。
いつもの日常が、戻ってきたんだ。
ちゃんと。