綿菓子と唐辛子
*
————次の日。
学校に行くと、いつも通りの日常が待っていた。
「姫芽ーー!ナツーー!おはよう!!!」
南は相変わらずテンションがおかしいくらい高いし。
「ええっ?!ナツと相坂さんが朝から一緒に登校している?!」
勇哉はまた、どーでもいいところで勝手に騒いでいる。
「ちょっとちょっと〜。同じアパートだからって風紀が乱れてません?」
「うるせーな、クソ勇哉」
「なに?!?!」
ヒメも、俺たちの会話を聞いて、いつも通りにケラケラと笑っていた。
伸びてきた髪を、ポニーテールに結んでいるヒメは、少しずつ少しずつ、本物の“綿菓子”のようなヒメにもなりつつあって。
でも、
「乱れてるかどうかなんて、そんなん俺らが教えるわけねーよな?ヒメ」
「は?!な、なな朝からなに言って、なななに言ってんだナツ、冗談やめろ」
…相変わらず、こんな口調の時もあるわけで。
それでも
そのどっちもが、俺の、俺たちの好きなヒメだから。
これからも、“綿菓子”と“唐辛子”、どっちのヒメでもいてほしいと思っているよ。