綿菓子と唐辛子
「…こんな女って何?ヒメは普通の女の子じゃん」
「…!」
「俺からしてみれば、普通の女より断然いいよ。お前みたいに静かな、サバサバしてる奴の方が、俺は良い」
「……」
勇哉も、ヒメを野獣なんて言ってたけど、実際そんなんじゃないのは知ってる。
ただ、他の人よりもちょっと、感情表現が下手なだけで。
こうやって料理が得意なところも、子どもや動物を助ける優しさがあるのも、ヒメのいいところなんじゃないのか。
どうして、俺にそんなことを言うんだよ。
「…ナツは、変わってるな」
「は?何言ってんだ?いたって普通の男子高校生だ、俺は」
「どこがだよ」
どこがだよって。全然普通だよ、俺は。
「こう見えて、時には勇哉みたいに脳内は変態エロ野郎になることだってあるし」
「は…っ!?なんだよそれ……」
「おい、引くなよ。普通の男子高校生だってことの分かりやすい例えだろ」
「…全然分かりやすくない…」
ヒメが、なにを根拠にそう言ってんのか知らない。俺のことがどんな風に見えているのかも、知らない。
けど、
俺はヒメのこと、色々な意味で、いい子だって思っている。