綿菓子と唐辛子
「あ、部長。あの、少し気になったんだけど」
「?」
食べている途中で、向かい側に座っていた副部長の環が、まじまじと俺の方を見る。
なんだと顔を上げたら、にやっと笑って、人差し指を突き出して言った。
「相坂先輩って、もしかして部長のカノジョなんですか?」
「……!!…は?!」
「!」
ガタタ…ッと、先に机を動かして反応したのはヒメだった。急に立ち上がった。びっくりした。なんなんだよ。
「…な、ない!絶対ない!彼女とか…絶対にないから…!」
「そ…、そうなんですか…?」
びっくりして、たじたじの環。
そして、相変わらず迫力だけはある、ヒメ。
…ていうか、そんなに全力で否定しなくても、さ…。
「…こ、コイツ…、ナツには、うちみたいな女は絶対ありえないから!」
「…。ヒメ…?」
「だめなんだ。うちみたいな、野蛮でガサツな女は、もともと男には相手にされないように出来ていて…!」
「「……」」
…また、言いやがったな、コイツ。
なんでこんなに自分を卑下するのか、知らねーけど…。どうしてこんな言い方をするんだろう。
もう、無理やりそういう方向に向けようとしているとしか、思えない。