綿菓子と唐辛子



高校2年の春。

いつもよりも少しだけ特別な、桜満開のこの日が人生を変えていく1日となる。



「ナツー、俺ら何組?見える?」

「あー…」

「ナツ、さやかちゃんと同じクラスかどうかも確認お願いー」

「…んー」

「ナツー、担任の先生は誰か…」

「だーー!お前らうるせぇ!」



身体がギュウギュウに押されるような人混みの中、俺の後ろで容赦なく騒ぐ勇哉らに叫んだ。

周りにいた他の生徒の視線が、一気に俺に集まった。
きっと、ウグイスもびっくりな大声だったのだろう。


「わ、ナツが怒った」


高校に入って、2度目の春。

1年から2年に上がる時に、一度だけクラス変えが行われる俺たちの学校。

今日は朝から、玄関に貼られているクラス替え表を見るための生徒が集まっている。

みんな、高校生活最初で最後のクラス変えの結果を見たいと必死なのだ。なんせ卒業まで何度嘆いてもクラスはそのままなのだから、かなりこれは重要だ。それは分かる。


でも、 それに対して、人混みが嫌いな俺は朝から最悪な時間を送っていた。


それなのに、一番背が高いからと言って前に押しやる勇哉、ひろむ、拓海。入学した時から、丸々1年を一緒に過ごしてきた奴ら。


何百人と並んでいる名前から、自分の名前だけを見つけるのも苦労するのに、それに加えて質問攻めにされたものだから、俺の堪忍袋がキレたのだ。


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