綿菓子と唐辛子
「ヒメ、家もうすぐなの?」
俺の家も、もうすぐだった。
「んー。もうちょっとしたら見える。えーっと…、…あ、ほら!!あそこ!」
ば…っと、勢い良く差された方角を見る。
さっきまでの暗い空気は、どうやらちゃんと飛んで行ったみたいだ。よかった。
「へぇー、本当に近くじゃん。……って、え?!ここ?!」
「うん、そうだよ。なんで?」
「……」
…驚いた。 本当に驚いた。
たくさんに散らばった星が、頭の上に落ちてきたんじゃないかと思った。
「…ここ、俺と同じアパート…」
「…!!…え?!」
…そういえば、最近、引っ越してきた人がいたような気がする、なあ…。大きいトラックとか、来ていた気がするな。
「最近隣に引っ越してきた住人って…。おまえだったのかよ………」
「トナリ?!」
ぎゃー!!と、奇声を発するヒメ。
指で耳を押さえる俺に、「うち、1人暮らしなのに!隣の部屋にクソ男…!!」と、叫んだ。
…悪かったな、クソ男が隣で。
どうやら俺たちは、同じアパートに暮らす、1人暮らしの高校生同士になってしまったようだ。