綿菓子と唐辛子
「きゃぁああああああーーーー!!!!」
「ごふ……っ」
作っていたコーヒーを口に含むと、またもや奇声。突然過ぎて身体が思いっきり跳ねた。
壁を突き抜けてくんじゃないかってくらい勢いのあるその声は、床を伝って俺のところに届いた。つーかうるさい。
「…ひ、ヒメ……?」
何か、あったのだろうか。ここに引っ越して来て間もないとはいえ、こんな奇声は初めて聞いたぞ。相当なボリュームだったんじゃないのか。
まさか、あの暴力なオヒメサマが何かにやられるということは考えられないけど。
…いや、でも女の子だし。小動物だし。
もしかしたら、力なんて、そんなのないのかもしれないし。
むーー………。
「…ヒメ!!何かあったのか?!」
気がついたら、俺は部屋を飛び出していた。そのまま隣に向かい、ヒメの部屋に入る。
ていうか!鍵閉まってないんだけど!!ちゃんと鍵かけとけよ!あっぶないな!!危機感ゼロか!
「ヒメ?!」
……いない…。リビングにはいない…。
「ヒメ!!」
「ぎゃぁあああっ!!こっちこないでバカー!!ナツーーっ、助けて…っ。ゴ…ゴキ…っ」
「へ?!ゴキ?!」
なんだよそれ!と、ヒメの声がする方に向かい、急いでドアを開けた。