綿菓子と唐辛子
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——高校2年 5月。
ヒメの家でのゴキブリ退治に(というかヒメの対応に)苦戦した日から、俺の心臓はおかしくなっている。
や、ゴキブリ退治のせいではないのか。あの時のヒメのせいなのか。
なんかよく、分かんないけど。ヒメの反応が本当面白いんだよなー。あの時、ゴキブリにビビってキャーキャーと騒いでいたヒメが忘れられない。
…つーか、やべ。
またシャーペン忘れてる。今気付いてしまった。どうしてこうも、俺のシャーペンは留守のことが多いんだ。
「ヒメ、シャーペン貸してよ」
「はぁ?!お前っ、毎回毎回同じもの忘れやがって!お前はうちをおちょくってんのか?!」
「や、違うって。今日のは違うって。本当に忘れたの、ピンチなの、俺」
プンプン腹を立てているヒメをなだめる。目がつり上がってる。その目は、あの日ゴキブリを見たときと同じ。信じらんないとでも言いたげな顔をしている。
ヒメの中で俺は今ゴキブリらしい。