綿菓子と唐辛子


「あ、俺とナツ同じクラスじゃん」


運命だね、と勇哉が笑った。結局、自分で自分の名前を探したんじゃねーか。俺が前に見に行った意味、あった?

でも、確かに俺と勇哉の名前は、同じ場所にならんでいた。他の2人とは、見事に離れた。でも、その2人は同じクラスになってた。


…勇哉とは、小学校に通ってる頃からクラスがずっと同じ。運命というか、腐れ縁ってところだ。だから、もう何回目って感じで、特に嬉しいとも感じない。失礼かな。


「…ん?でも、あれ。相坂姫芽(あいさかひめ)って、誰だ?」

「あ?」


ようやく見つけたクラス表をカメラにおさめていると、勇哉が肩を叩いて聞いてきた。


「ほら、お前と同じ出席番号の」

「…」


相坂姫芽…?

カメラにおさめた写真を拡大して、その名前を確認する。


「…」


確かに、聞いたことがない。
200人は超えるけど、ここらじゃ特別大きい学校じゃない。だから、名前くらいはほとんど聞いたことあるはずなんだけどな。


「…知らねー。興味ない」

「またナツは。そんなんだから彼女も出来ないんだぞー」

「黙れば」


クラスが離れてしまった拓海やひろむとバイバイを言って、俺は勇哉と自分たちのクラスに向かった。


「…」


相坂姫芽…。それにしても、変な名前だ。つーか、姫芽って。お姫様か。自分の名前がそんな響きって、どうなんだろう。

俺の名前が、王子だったらって考えると、背中がムズムズした。



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