綿菓子と唐辛子


「ったく!こんなんだからお前はナツなんだ!なんで隣の席だからって、わたしがこんなこと…っ」


まだ怒ってるヒメを横から眺める。

んー、かわいいなぁ。
なんでこんなに、すぐ怒るんだろ。



授業中にひそひそ声で話す俺らに、先生は気づいてはいなかった。

筆箱をゴソゴソと探し始めるヒメに、今日もまたゴジラシャーペンが出てくるのだろうかとソワソワする。


「ほらっ、マジで感謝しろよっ」

「ぶっ……」



手に握りしめられたシャーペンは、やはりゴツゴツしてキバが剥き出しだ。
てっぺんについたゴジラは、今日も俺を見つめてる。ほんと、存在感ありまくりだな。


「まーたお前…。相変わらずだな」

「ふん!そう思うだろ?それがいつものゴジラとは違うんだなー」

「へっ?!違うの?別のゴジラなの?」

「うんっ!」


「相坂さん!話し声がうるさいわよっ」

「……!」


ぷっ。怒られてるし。

顔を赤くして下を向いたヒメは、そのまま俺の方を向いた。

クチパクで何か言っている。なんて言っているかは残念ながら分からない。

でもきっと、抗議しているんだ。

今怒られたことを俺のせいにでもしたいのだろう。



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