綿菓子と唐辛子


「こら!ナツくん!何ほえてるの?!」


「ね!すごいだろ!ナツ!これ、昨日届いたんだよ!見つけたうち、天才じゃない!?」


『ガオー、ガオガオー』


「……。」


先生、ヒメ、そしてゴジラの声が次々にクラスに響いた。その後を追って、クラスメートの奴らのクスクスといった笑い声が聞こえてくる。


シャーペンの芯を出すと、ワンプッシュごとに黒い生物が鳴いた。しかも、ゴジラのくせに迫力ねーな。

犬レベルの吠え方。なんだこれ。



「しょーもな…。つーかこれ!シャーペンの芯出すたびに『ガオー』って鳴くじゃねーか!迷惑じゃん!」


なんだこの新機能搭載なシャーペン!
しかも無駄な新機能だ!!


「そ、そんなに無駄かなぁ……」

「や、どう見てもそうじゃん……」

「んー…。ナツが喜ぶかなって、ネットで買ったのに……」

「ネット!?」


俺のために、わざわざネットで探してポチったのかよ?暇人極めてんな。


…つーか。もー、なんなんだよ!


ヒメの顔が、また女の子バージョンになってる。怒ったような、少し落ち込んだようなその顔。くそー。そんなうるうるした目で見るなっ。



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