綿菓子と唐辛子
ブフォ…っと、飲んでいたアクエリアスを吹き出す勇哉に、赤面の南。
そして、頭まで血がパンパンに上り詰めている、俺。
ヒメだけが、平気な顔で俺に四つ葉のクローバーを差し出して笑っていた。
これだけの人間を同時に惑わせているというのに、なんだその鈍感っぷりは。
「かわいーでしょ?幸せの証だよ」
口調…、戻ってるよ、ヒメ。ここ、みんないるんだけど。お昼休みだし。
…しかも、かわいいのお前だし。
もう、溢れ出てくるような幸せでどうにかなりそうだし、俺。
「…なんつーか…、お前が好きになるのも分かる気がするわ、ナツ」
「……」
「…可愛いな、確かに」
「…だろ」
ぴょんぴょんと、嬉しそうに跳ねながら南の後を付いていくヒメ。
俺の隣には勇哉もいたわけだし、クラスには他にも男子はいる。
それなのに、俺に持ってきてくれたことが、何よりも嬉しかった。
「…つーか、ナツ、大丈夫?」
「…ん…。なんとか…」
あぁ。
これが、恋というものなのだろうか…。