綿菓子と唐辛子
「えー、なになに姫芽ちゃんって。可愛い名前じゃーん」
「お前よりはな」
「はー?!何言ってんの、南も可愛いじゃん!南ちゃんだよ!?男の夢だよ!?」
「はいはい、うるせぇうるせぇ」
必死に反抗してくる南を抑えながら、俺と勇哉は必死にお姫様を探す。
どうしてこんなに一人の人を探してるのか。
…しかも女を。
多分それは、俺と同じ出席番号ということと、変に勇哉が興味を示しているということ、そして変にキラキラした名前が原因だと思う。
じゃなきゃ、女なんか必死で探さない。
「かわいい子見当たんねーな。やっぱり、まだ来てないのかな?」
「あのな勇哉。名前は可愛いからって、外見も可愛いとは限らねーだろ」
…そう言いつつも、俺も印象の強い女は見あたらなかったから、席順を見ながら自分の席に座った。
とりあえず、同じ中学でのアイドル的存在だった南を越える奴がいないなら、お姫様もハズレだな。
どこがいいのかは不明だけど、南は可愛いらしい。周りの男たちの間で人気があるのは知ってた。俺にはどこがいいのかまるで分からないけど。